
BRISTOL INSTITUTE


THE UNKNOWN
知られざる英国の名車
「くるま道楽」を創業して35年、そして「ワクイミュージアム」を開設して15年。後半生を賭けて、のべ600台のロールス・ロイス/ベントレーを販売してきた私が今、最後に掘り下げてみたいと思った車がブリストルでした。
私のブリストルへの探求は、自動車評論家の故・川上完さんのブリストル406を、ご遺族たってのご希望によりお引き受けしたことから始まりました。
ブリストルについて、私自身は英国の通人向け高級クーペとして、あくまで名前だけは存じ上げていましたが、そのブランドの全貌や歴史までは知りませんでした。しかし今になって調べてみると、「ブリストル航空機製造会社」の三代目当主、ジョージ.S.M.ホワイト卿による、個人プロジェクトに近いかたちの事業計画から生まれた車と分かりました。
そして、彼が目指していたのは航空機の技術を活かした「小さなベントレー」であったことも、海外の書物から学ぶことができました。
創業者の思いは生産車によく反映されている。そのことが、ブリストルにも言えるようです。 英国ならではの高級でパーソナルな、そして生産台数の少ないブランドでありながら、現代におけるクラシックカーのバブル的投資の影響を受けていない。そんな知られざる名車が、特に自社製の6気筒エンジンを搭載したブリストルと考えています。
そのかたわら、ル・マン24時間レースでクラス優勝を2年連続で勝ち取る実力を持ち、少量生産で広告活動も行わなかった英国コニサー向けのパーソナルカーなのです。
私は、英国以外では唯一ではないかと思われるブリストル専門店を、最後の仕事にしたいと考えています。この知られざる車たちを乗り継いでゆく後継者を探すつもりで、これまでも事務所にしていた文京区弥生に「研究所」を銘打ったスペシャルショップを開きました。屋号は「ブリストル研究所」。お客さまとともにブリストルを研究しながら日本に広めてゆくことを、唯一最大の目的としています。
この知られざる名車を愛する同好の士に出会い、クラブハウスのような雰囲気の、小さな温かみのある店をしたいと思っています。
かつて私がヴィンテージ・ベントレーの愛好者を日本で増やしたように、ブリストルというブランドが歴史に埋もれないように、東洋の端でも見つめている人間がいる。ポツンと小さく灯される、遠い灯台のような存在でありたいと思っています。
涌井 清春

